私自身、一人娘の入学式と卒業式を何度も経験してきました。毎回、「どんなジュエリーなら浮かずに品よく見えるのか?」と前日まで悩んだものです。
小学校入学式では、前夜に手持ちのアクセサリーを並べて家族に意見を聞いたほど。親としての装いが子どもの晴れ舞台を引き立てることを、身をもって実感しています。
宝石鑑定士として現場に立ち続けてきた私の視点から、実際の体験談やプロ目線を交えて、ちょうどよく品があるジュエリー選びを解説します。
入学式・卒業式で「浮かない」ためのジュエリー選び3例
子どもの晴れ舞台にふさわしい装いとは何か。派手すぎず、でも手抜きに見えない。そんな絶妙なバランスを求められるのが入学式・卒業式です。ここでは実際の保護者のケースから、好印象を与えるジュエリーの選び方を探ります。
■ケース①:卒業式にダイヤのピアスで浮いてしまった母(40代・会社員/長男の高校卒業式)
私の知人であるMさん(40代・会社員)は、普段からシンプルな装いを好む方です。長男の高校卒業式に、思い切ってお気に入りのダイヤピアスを選んだそうです。

お気に入りのダイヤのピアス
式の後、「他のお母さん方はパールや地金のイヤリングが多くて、私だけ少し浮いてしまった気がした」と話してくれました。実際、会場の写真を見返すと、ダイヤの輝きが強調されていて、本人も「もう少し控えめにすればよかった」と反省していました。
■ケース②:入学式にコットンパールで浮かない華やかさを演出(30代・パート勤務/娘の小学校入学式)
郊外に暮らすKさんは、小学校に入学する娘の式典に出席するため、服装とジュエリー選びに悩んでいて「本真珠だとちょっとかしこまりすぎるし、年齢より上に見えそうな気がして…」気にしていました。
選んだのは、コットンパールのネックレス。ややマットな質感が柔らかく、春の空気感や会場の明るさともなじみやすい選択でした。

春にふさわしいパール
会場でも華やかさを残しつつ、悪目だちしていなかったので、安心して式に集中できたそうです。「写真を見返したとき、ちょうどよく華やかで浮いていなかったので安心しました。」と後日話していました。
■ケース③:祖母の形見のブローチで、控えめな品格を演出(50代・自営業/次女の中学卒業式)
自営業を営むHさんは、次女の中学校卒業式に出席するにあたり、手持ちのジュエリーではなく、祖母から受け継いだブローチを選びました。

祖母から受け継いだブローチ
「私の母が昔、私の卒業式にもつけていたもので。娘にとっても意味のある日にしたかったんです。」そのブローチは、小さなパールをあしらったアンティーク調。ジャケットの襟元に控えめに添えられたその装飾は、出しゃばらず、けれどしっかりと品のある存在感を放っていました。
入学式・卒業式にふさわしいジュエリー選びの5原則
式典当日は「派手すぎず、でも品がありたい」という気持ちからジュエリー選びに迷う方も多くいらっしゃいます。ここでは実際のコーディネートの場でも役立つ、基本の5つの視点を紹介します。
① 主役は子ども。自分は「引き立て役」
入学式や卒業式は子どもが主役の大切な一日。保護者の装いはその晴れ舞台を引き立てる額縁のような存在です。自分を目立たせることではなく、控えめな品格で場の雰囲気に溶け込むことが大切。

控えめなネックレス
華美なジュエリーは避け、あくまで添える意識を持ちましょう。
② パールは最強の万能選手
フォーマルシーンにおいて、最も信頼できるのがパールです。真珠は光沢がやわらかく、上品な印象を与えるうえ、和装・洋装のどちらにも対応できる万能アイテムです。

万能アイテムのパール
私は、淡水パールであっても、その効果は十分だと考えます。顔まわりを明るくし、写真映りも非常に良いため、一連のネックレスや一粒ピアスは重宝します。
③ 石の輝きが強いジュエリーは控える
ダイヤモンドやスワロフスキーなどの光を強く反射する素材は、どうしても注目を集めすぎてしまいます。たとえ小粒でも画面や照明の条件でギラついて見えることがあり、場にそぐわない印象を与える可能性があります。

注目を集めるリング
式典では抑えた輝きを基準に選びましょう。
④ 小ぶりなイヤリング・ピアスはOK
耳元のアクセントは、顔まわりの印象を引き締めてくれます。主張しすぎないサイズ感であれば、上品にまとまるため好印象になります。

小ぶりなピアス
素材は艶を抑えた地金系(ゴールド・プラチナ)や、肌に馴染むピンクゴールドなどが安心です。揺れないタイプを選ぶと落ち着いた印象になります。
⑤ ブローチや小さなペンダントはアクセントに最適
ちょっと物足りないを補うのにぴったりなのがブローチやミニペンダントが重宝します。さりがなく洋服にあったデザインをつけている方がいると、見ている側も心地がいいです。

ミニペンダント
ジャケットのラペルやワンピースの胸元にさりげなく添えるだけで、全体に奥行きが生まれます。大きすぎず、ストーリー性やクラシカルな雰囲気をもつデザインを選ぶと好印象です。
よくある質問Q&A
ジュエリー選びに正解はありませんが、入学式や卒業式という特別な場では「これで合ってる?」と迷う方が多いものです。ここでは、実際によく寄せられるご質問に対し、宝石鑑定士の視点でお答えします。
Q1:ダイヤの指輪はつけても大丈夫?
A:私自身、結婚指輪に小さなダイヤが入っているタイプを着用しています。式典でも違和感なく馴染みますが、以前、大粒のダイヤリングをつけていた保護者が「写真で自分の手元だけがやたらと目立ってしまった」と話していたのが印象的でした。控えめなデザインなら問題ありませんが、石が大きい場合は避けるのが無難です。

控えめなダイヤのリング
Q2:ジュエリーはつけない方がいいのでしょうか?
A:ジュエリーは控えめでもつけていることで、全体の印象がぐっと締まります。全くつけていないと手抜きな感じがしますし、晴れの場ではこどものためにも華やかさをプラスするといいでしょう。
特に顔まわりや胸元は印象を左右するポイントなので、小粒のパールやミニペンダントなど、ちょっとだけ丁寧さを感じさせるアイテムを選びましょう。

印象を左右するジュエリー
Q3:ネイルや髪型とのバランスも気になります。
A:バランスは統一感でもあります。全部控えめか1か所だけポイントを置くと全体が調和します。私も、ピアス・ネイル・髪型のどれかが主張強めの場合、他を控えめにすることでバランスをとるようにしています。

全体のバランスを考えたジュエリー
ジュエリーを目立たせたいなら、ネイルや髪はシンプルにまとめます。逆に巻き髪やネイルに華やかさがある場合は、ジュエリーをぐっと引き算すると上品に見えます。
Q4:レンタルジュエリーでも大丈夫?
A:もちろんOKです。使用頻度が少ないシーンではむしろ賢い選択です。式典用のフォーマルジュエリーは毎年使うわけではないため、購入に迷う方も多いです。
私の友人は、高品質なパールや地金アクセサリーを1日単位でレンタルできるサービスを利用して、「プロのスタイリストがセットで提案してくれるから安心。」と上手に活用しています。

レンタルジュエリーも検討を
予算や収納の負担が気になる方にはおすすめです。
まとめ|母としての美しさは、控えめな品格から
入学式・卒業式のジュエリー選びに正解はありません。けれど、その場にふさわしいという視点で見たとき、「控えめだけれど丁寧」「華やかだけど出しゃばらない」という美意識が求められます。
大切なのは、
・子どもの成長を引き立てる存在であること
・周囲と調和しながら、自分らしさをほんの少し添えること
・ジュエリーは、その空気感を作る小さな鍵です。
特別な一日だからこそ、自分の選ぶ目を信じて、品ある美しさを身にまとう時間にしてみてください。
初めてのジュエリーを検討する時は、こちらの記事も参考にしてください。
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